大阪最古の地蔵尊


當院の御本尊は古来聖徳太子時代の恵心作と伝承せられ、大阪最古の地蔵尊であります。

 

 かつて平家全盛の頃は平清盛、重盛の守本尊となり、又京都黒谷及び知恩院に各数百年間奉安せられました。

 万延年間に至り大阪華頂御殿御蔵屋敷の長、石田阿波守の御勧請により島町に遷座せられましたが、其頃鴻池家は特に当本尊に篤信を捧げられ丁度難病に罹られたご子息が侍医にも見放された時、母君は当本尊に三日を限り熱願を捧げられた結果、霊験あらたかに日もなく快癒されました。

 これより後、昼夜香煙後を断たず毎月四の日の縁日には夜店群をなし、大阪に於ける霊場となり、今日に至っております。

 

 


 

『お地蔵さま』とは

 

 お地蔵さまは又色々の化身をして人を救済され、殊に慈悲、特に悲の方を救済される仏さまです。

 世の中に一人でも悩み苦しんでいるものがあれば菩薩の位置につかず、苦悩の民衆の間にあってその救済にあたりたいと念願されている仏様です。

 

 また、巻頭の十種の福を真剣に信仰すれば、その徳は全身にしみ込み、困ったとき苦しいときに右か左かを迷わず判断でき不思議なことが顕われ「信あらば得ある」という諺の通りです。

 

 お地蔵さまは積極的かつ民主的な仏さまで、慈悲の誓願では飽き足らず一歩前進して自身がその人の代理としてその苦悩を引き受けてくださる、実に尊い、全く頭の下がるような仏さまであります。